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日本人女性に多い「内股」について

アレクサンダーテクニークを学び始めて4年目。「体の使い方を学ぶ」ということがどういうものなのか、今思えば始めの頃は何もわかっていませんでした。「体の使い方を学ぶ」ことは弱い筋肉を鍛えるとか、体感を強くするとか、そういうことではありません。適切な言葉を探すと「古い習慣を新しい習慣に書き換える」といえるでしょうか。

それをわかりやすく表しているのが、私のアレクサンダーテクニークの先生であるジェレミー氏の「左右間違って履いている靴を適切に履き替える」という表現です。使いにくいやり方ではなく、適切なやり方で自分の体を使う訓練をするのです。

先週のクラスで、膝を曲げるというシンプルな動きを生徒たちとじっくり探求してみました。

日本人女性の多くは内股(股関節と膝を内旋させている)傾向が強く、90%以上が内股または隠れ内股といっていいほどです。よほどバレエなどで長年鍛え上げていない限り、内股傾向であると考えてよいのではないでしょうか。これは元々の日本人の骨格、スカートによる習慣、幼い頃からの文化的習慣なども要因かもしれません。スポーツの世界でも、膝の故障は女性に特に多いそうです。

つま先が見るからに内側を向いてしまう場合は明らかですが、つま先は外側を向いているけれど膝は正面または内側を向いている場合も多く、そういう方の多くは外反母趾の傾向があります。つまり、親指の付け根あたりに体重を偏らせて立つ習慣があるということです。これは特に膝を屈曲していくときに明らかになります。

こうした使い方は足の裏全体を使えないため、当然バランスが悪く、踊ったときに、特にターンのときなど不安定になります。ベリーダンスでは股関節を柔らかく使いたいときに膝が屈曲しすぎてしまうことが多く、望んでいる動きに近づけないどころかかえって膝関節を酷使してしまいます。

もちろん、年を重ねてくると膝に痛みが生じる原因にもなります。なぜならこうした使い方は、毎回膝を曲げるたびに無意識に膝を捻ってしまうことになるからです。膝は本来、回旋には適さない関節です。それは体の重量を支えるために関節の機能が制限されているためです。膝関節の構造や屈曲の原理を少し知ると、自分がどのように膝関節を使っているかがわかってきます。

子供の頃バレエを習っていた人はベリーダンスも上達が早いといわれますが、これは基礎を知っているという以前に、内股傾向を早い段階で改善しているからともいえるかもしれません。

「使い方が機能に影響する」これはアレクサンダーテクニークの発見者であるアレクサンダー氏の言葉です。本来の機能は誰もが持っているのに、その機能を生かす使い方と生かせない使い方があります。私たちは生かせない使い方があるということに驚くし、それを選んでしまっていた自分にも驚きます。その多くは習慣的なもので、習慣は日々の様々な事象や思いから作られます。自分が思っている以上に環境に影響されるのが私たちです。

いずれにしろ、私たちは知らず知らずのうちに“努力して”この習慣を身につけてきたのです。逆に考えれば、新しい習慣に書き換えることも可能なのです。

アレクサンダーテクニークを学んでいくと、ほんの一瞬ですが、まるで自分が水のように感じられる瞬間があります。自分は固体であると信じて疑わない自分から、氷が溶けるように水となり、どんな自分にでも変化していけるような気持ちになるのです。

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