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「動ける身体」になるために〜日本人の脊椎の動きはなぜ硬い?

MAVI ベリーダンススクールでは、踊る前のウォーミングアップに40分の時間を使います。
全身を隈なく動かすことで身体を調整し、偏った使い方を均等にしてバランスを整えていくことで踊りのための準備を行うためです。この40分間は、忙しい日常生活から離れて自分の身体を見つめ、不必要な緊張に気づいていくための時間でもあります。

ダンスは経験を積めば積むほど、基礎の大切さが身にしみてわかってくるものです。そして基礎というのは、その人の身体の使い方に大きく関わってきます。一人一人みんな違います。

エジプトでダンスレッスンを受けて衝撃だったのは、彼らがほとんどストレッチをしないことでした。日本の(欧米も)レッスンでは踊る前のストレッチは欠かせないものだったからです。にもかかわらず、彼らの踊りの上手さには舌を巻くものがあり、日常の立ち居振る舞いもとても優雅に見えます。とりわけ脊椎と骨盤の動きが滑らかで、ひとたび音楽が流れると骨や筋肉が息づいているかのように自在な動きをします。

それにひきかえ日本人は動きが硬く、特に脊椎の動きが限定されているように見えます。これは日常の動作に関してです。そのまま踊ると、どうしても腕や脚だけで踊っているような状態になってしまいます。私自身も習い始めて数年後、少し振付が覚えられるようになると、なんだか「小慣れた感じ」で踊ってしまっていることに気づきました。今思い返せば、あれは体幹を使わず腕や脚だけで振付を踊っていたのです。

ただ、それが日本人の骨格であり、個性であるとも言えると思います。小さな頭部や大きな骨盤、長い脚をもつ西の民族に比較して、東洋人の骨格は全体的にメリハリに欠けます。そのためか伝統的な日本の踊りは“なんば(右腕と右脚が同時に出る)”が多く、脊椎を捻るような動きはあまりみられません。

ただ、そうした骨格の問題を差し引いても、多くの人は自分の脊椎を固めてしまっています。つまり、日本人だってもう少しは踊れるはずなのに、より動きを妨げる要因を作ってしまっているのです。

その要因のひとつが、腕を後ろに引いている「気をつけ」です。アレクサンダーテクニークのキャシー先生が指摘したことです。「日本人はほぼ全員が“気をつけ”をしている。それがあまりにも当たり前になっているのでお互いに気づけないのね」という言葉に衝撃を受けました。多くの場合、姿勢を良くしようと思ってやっていることで、これは学校教育から、ひいては軍隊教育からくるものでは?という指摘もありました。よくよく観察すると、重そうなランドセルを背負う小学低学年の子どもも、背中から見るとすでにこんな姿勢になっています。

腕を後ろに引くことが脊椎の滑らかな動きを妨げ、さらに胸を張ることで脊椎全体に緊張が生まれます。日本人の多くがなぜそれをやっているか、には深い深い要因がありそうですが、確かに言えることは、エジプト人の多くは(というか踊りの上手な人は)それをやっていないということです。何でもかんでもスピードを求められ、感情を押し殺すことを良しとされる今の日本の社会性にも関係している気がしてなりません。

踊る準備として、まずは「動ける身体」になることが大事です。では、どうしたら「動ける身体」になれるのか。私自身がこれまで、いくらストレッチをしても振付を覚えても、「動ける身体」になかなか近づけないという実感をもってきました。何かが根本的に違う。

そうして辿り着いたのが、頭と脊椎の関係性でした。実は脊椎の動きを妨げる最大の要因はここにあります。頭の重さが上手く分散されていれば脊椎は解放されますが、そうでないと脊椎は常に緊張状態に陥ってしまいます。肩凝りや腰痛の多くはこれが原因です。もしかしたら、日本人が身体に比して大きな頭部をもっていることも、脊椎の動きに関連しているのかも?

頭と脊椎の関係性についてはまた別の機会に書くことにしますが、こうした理由により、今は静的なストレッチよりも動的なウォーミングアップを中心に行うようにしました。筋肉をひたすら伸ばすことよりも、骨や関節の動きを滑らかにすることが重要と感じたためです。

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