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「できない」は機能の問題ではなく使い方の問題〜身体の断捨離しませんか?

緊急事態の自粛期間中に家の中の断捨離をした方は少なくないと思います。不要なものを捨て、家の中の導線を考え、ときには家具の配置を変えます。すると、思いがけずスペースができたり、生活しやすくなったりして、住み慣れた部屋もまんざらではないという思いをした経験はないでしょうか。

身体の使い方を探求するとは、この断捨離に近いものがあります。“身体の断捨離”と呼んでもいいかもしれません。不要な緊張を取り払い、使っていなかった部分を必要に応じて使えるように骨の位置を整え、全体の機能性を高めていきます。できないと思っていること、苦手だと思っていること、年齢や筋力不足のせいと諦めていること。それらはあなたの身体の機能の問題ではなく、使い方の問題であることが多いのです。

問題は、まずどこから始めるか。手順がとても大事です。断捨離にたとえるなら、要らないものを捨てる前に新しい収納家具を買ってしまうようなことはしたくありません。これは、なおさら不要なものを増やしてしまう事態につながりやすく、効率が悪いです。手順を間違えることは、モチベーションを失う原因にもなってしまいがちです。

身体の場合はまず、不要な緊張から自分を解放することから始まります。一番は、身体の一番高いところにある頭が身体全体を圧迫していないかどうかです。頭が下がれば脊椎全体が緊張します。つまり、頭の位置が変わらない限りは、首から下をいくら変えようと思っても変わりにくく、効率が悪いのです。

自分の姿勢を改善するため、私が行ってきた努力のひとつが、反り腰を直すために骨盤前傾をコントロールすることでした。お尻に力を入れて骨盤周りを緊張させることで少しでも骨盤を立てようとしたのです。このやりかたはもちろん、あまりうまくはいきませんでした。その理由は、骨盤だけに焦点を当てて骨盤だけを変えようとしていたからです。

このときに私がまったく考えていなかったのが、“身体の全体性”です。骨盤は脊椎とつながっています。骨盤と脊椎は仙腸関節という関節でつながっていますが、この関節の可動性は非常に限定的なものです。そのため、骨盤が動くときには必ず脊椎が動くのです。しかも、脊椎は耳の高さまでつながっています。つまり、骨盤がもし変わったら、脊椎全体が変わるということです。

反り腰というのは別の言い方で言えば、脊椎全体が短くなり、カーブが急激になる現象です。タイプは違っても、猫背や骨盤後傾など身体に害を及ぼす姿勢はほとんど脊椎全体が短くなり、カーブが急激になることで起こります。つまり脊椎全体が長くなり、カーブがなだらかになれば反り腰や猫背も改善に向かいます。

私たちはあまり意識していませんが、5キロ以上の重い頭が脊椎のトップの上にあるという人間の構造上、身体は常にバランスをとり続けています。反り腰の人の多くが無意識にアゴを引いてしまうのは、その一例でしょう。どこかが変われば身体はどこかを変えてバランスをとろうとするのです。一箇所だけをコントロールして変えることは、できないわけではありませんが、果てしない努力を必要とし、決して効率的ではありません。

最も効率的な方法は、一番上にある頭から始めることです。脊椎の一番上のトップジョイントで頭がどうバランスをとるか。関節というのは2つの出会う骨が動くためにありますが、トップジョイントがさまざまな原因で周辺の筋肉を固め、機能していないことがよくあります。反面、ふとした原因で自由に可動し始めるのもこの関節の特徴です。ここが自由さを取り戻すと、脊椎全体が頭の重さから解放されます。脊椎は24個の骨がそれぞれ関節を作る構造なので、脊椎全体が解放されると身体全体に変化が起こるのです。

ところが、トップジョイントを固めていると自覚している人はほとんどいないといっていいでしょう。それほどに私たちは頭蓋骨周辺で起きていることに無自覚なのです。脊椎のトップは環椎と呼ばれる、横幅7~8センチの小さな骨です。この小さな骨が、重さ5キロ以上の頭蓋骨と接しています。環椎はわずか指先ほどの小さな関節で、大きな頭を支えているのです。

頭を動かそうと思うと、多くの人は頸椎の下のほうの関節から動かします。ときにはこのトップジョイントを固めたまま、下のほうの関節で無理に激しく動かしてしまうこともあり、これはとても危険です。車酔いが激しかったり、ターンやヘッドロールで問題を感じている人は、たいていこのケースです。

トップジョイントのような小さな関節は、たとえば眼を動かしたときに主に働きます。非常に繊細な動きですから、最初のうちは何度も、細やかな練習を必要とします。踊りや運動をしている人にとっては、あまりに繊細な動きなので戸惑いを感じるかもしれません。でもこれこそが、すべてのダイナミックな動きの根源となるのです。

アレクサンダーテクニークのレッスンで行うことは、頭がトップジョイントで自由に動き、脊椎全体が自由さを取り戻すこと、ただそれだけです。非常にシンプルですが、たやすいものではありません。知識と練習を必要とするものです。ただ、一度始めれば探求が始まり、確実に身体は解放されていきます。自分の身体を自由にするのは、自分自身なのです。

Fatima(大島ふみこ)

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