自分は呑み込みが遅いと思っているあなたへ。変化を起こすのに近道はない。地道な繰り返しがあるだけ。

私は何かと呑み込みの遅いタイプです。でも最近、それがむしろ自分にとっては良いことなのかもしれないと思えるようになってきました。
何かに取り組むときに、「早道」「近道」というものは幻想だということがわかってきたからです。「手っとり早い方法」「わかりやすいHow to」「美味しいとこどり」というものがあるように見えるけれど、それらは幻想にすぎず、時間がたってみると雲のように消えてなくなってしまうのです。
たとえば料理をして、完成品が美味しくなかった場合、何が適切でなかったのかと考えます。ああ、手順をひとつカットしていた、この料理にはあの手順が大切なんだと気づきます。そしてしだいに、毎回その料理を美味しく作ることが当たり前になっていきます。
大事なのは、毎回料理が美味しくできるようになるにはどうしたらいいか、つまり再現性を高めることです。これは、失敗を避ける「手っとり早い方法」、検証なしの「わかりやすいHow to」、実験なしの「美味しいとこどり」では手に入れることができません。
そこがアレクサンダーテクニークを理解してもらうのが簡単ではないと感じるところです。
骨や筋肉は整体師にマッサージしてもらわないとほぐれないわけではありません。自分でほぐす(緊張を開放する)ことができます。でも、多くの人はそのやり方を知らないのです。もちろん、身体は動かしていても、その動きは習慣によってパターン化していて、動いていない骨や筋肉は固まってしまい、ときに痛みを起こします。
運動をしている人さえ、その傾向があり、ときには普通の人よりも激しいパターンをつくってしまう場合が多々あります。そのひとつが、ダンサーに多い背中の反りで、私もこれが激しく、アレクサンダーテクニークの先生には「胸を固めている」と指摘されました。
そう指摘されても、自分ではどうしていいかわからず、自分なりに胸椎と肋骨を動かそうと努力しました。位置や角度を変えようとしたり、呼吸で動かそうとしてみたり…とにかく長い間、格闘したといっていいほどでした。そして毎回、先生に修正され、考えを新たにして、次のレッスンまでまた新たな実験に取り組みます。
今も、なかなか呑み込めない自分に苛立ちと情けなさを感じていますが、一方では、それでもここまで取り組んできた自分を評価しています。10年にわたる年月です。
自分の身体にディレクション(指示)を送り続け、全身の協調作用が改善されてきたときには、全身の関節が広がり、血行がよくなり、呼吸は深くなり、背も高くなり、心は穏やかになります。体温が急激に上がったり、唾液が口中に溢れてきたりもします。人から見ると、佇まいが変わり、顔や肌艶も若返ります。
アレクサンダーテクニークに取り組む人はみな、その状態に自分がいつでもなれること、その状態が自分の習慣になることを目指しています。その源泉は、未知なるものへの好奇心、自分への探求心、自分の能力をこの人生で最大限に発揮したいという願いなのです。
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